自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言書保管制度の利用方法と必要書類

自筆証書遺言書保管制度の利用方法

作成した自筆証書遺言書を法務局に保管してもらう制度です。
有効な遺言書としての要件や注意事項は自筆証書遺言と同じですが、保管の際に必要な書類や費用などが追加されます。
また、保管した遺言の内容を変更する場合は再度手数料が必要になります。

自筆証書遺言書保管制度の必要書類

・要件を満たした遺言書(ホッチキス止めはしない)
・遺産を特定するための預貯金通帳のコピーや不動産の全部事項証明書などが別紙となっている場合はそれらの書類
・記入した保管申請書
・本籍の記載のある住民票の写し(発行後3か月以内のもの)
・本人確認書類(マイナンバーカードや有効期限内の運転免許証(運転履歴証明書)、パスポートなど)
・手数料(3,900円の収入印紙)

自筆証書遺言の作り方

遺言書を作ろうと思い立った場合、真っ先に思いつくのは自筆証書遺言でしょう。
約束事さえきちんと守れば、誰でもすぐに作ることが出きます。書き直しの際は初回と同じように費用と書類が必要です。。
但し、遺言の内容によっては簡単ではありませんし、良かれと思って作成した遺言書がもとで家族に争いが起きてしまうこともあります。
できれば、お金は多少かかりますが、相続のことが良く分かっている、専門家のサポートを受けて作成した方が安心です。

また、自筆証書遺言のデメリットの一部も解消されています。
・死後法務局から指定された相続人などに通知が来るので、紛失や死後見つけてもらえないということは考えにくい。
・悪意の相続人による、破棄、改ざん、作り直しなどの危険を回避することができる。
・裁判所による遺言書の「検認」が不要。

この制度を利用する場合のデメリットとしては、遺言書の保管を申請する際、書いたあなたご本人が法務局に出向かなければいけないという事です。
つまり、外出もままならない状態になってからでは利用できないという事です。詳しくは(遺言書の作成)をご参照ください。

自筆証書遺言を作成する場合の要件

法的に有効な自筆証書遺言を作るには以下のような要件(約束事)があります。

1.遺言時に15歳以上であること
2.遺言時に意思能力があること
3.作成した日付があること
4.署名があること
5.日付と氏名は自書であること
6.押印があること
7.所定の方式で変更されていること
8.遺言の趣旨が解釈可能であること
9.(要件ではありませんが「付言事項」もあると説得力が増します)

これだけです。言葉だけ見れば簡単そうです。でも遺言書は「法的に有効な遺言書」でなければいけません。
ではそれぞれの内容を見て行きましょう。(完成イメージはこちら)。

1.遺言時に15歳以上であること、は問題ないですね。

2.遺言時に意思能力があること

 ここは少し複雑です。でもあなたの現状に何も問題がないのであれば大丈夫です。
 具体的には認知症のように、精神的、行動観察的に障害があるかどうかで判断されます。
 また、遺言の内容が単純なのか、複雑なのかでも判断は分かれます。
 認知症と診断されているから一様に無効という訳ではありません。医師二人の証明がもらえれば有効にできることもあります。

3.~6.氏名と作成した年月日を正しく自書し印鑑を押す。問題ありませんね。
 但し、夫婦連名はダメです。必ず一人づつ作成します。

7.所定の方式で変更されていること

 変更(修正)方法のイメージは契約書の訂正方法と同じです。お仕事や不動産の購入契約などで目にする機会があったかもしれません。
 間違えた個所を二重線で消した上に印を押し、横(上)に正しい文言を書きます。欄外に何行目何文字削除何文字追加と書きます。

 但し、大事なところや複雑な内容の場合は、新しく書き換えた方が無難です。
 以前は全文自書の必要がありましたが、現在は民法の改正で、内容についてはワープロやコピーの添付が可能になりました。
 それでも全文手書きで書きたいという場合は大変になりますが、後々問題にならないように書き直しが良いかと思います。

8.遺言の趣旨が解釈可能であること

あいまいな表現ではなく、内容が明確なことが必要です。文末も「相続させる」、「遺贈する」などの断定であれば問題ありません。
裁判例では、「遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが,可能な限りこれを有効となるように解釈する」と判断されています。

しかし、実務ではあいまいと判断され、利用できないことも結構あります。
銀行口座の解約や、不動産の移転登記など、個別の銀行、法務局などに手続きを拒否されてしまうのです。
この場合は裁判で争う事になります。
そんなことにならないように、慎重に、確実に作成する必要があります。

9.付言事項

付言事項は、法定遺言事項以外の内容であり、具体的には「感謝の気持ち」や「遺言を書いた経緯」などを付言事項として記します。
付言事項は法的効力を伴いませんが、遺言に関する被相続人の想いを伝えることで、被相続人の意思が尊重されやすくなります。
その結果、相続トラブルを回避できたり、円満な相続ができたりするケースも多くなります。

いかがでしょうか?(完成イメージはこちら)で自筆証書遺言の作成例を載せていますので、ご参照下さい。

自筆証書遺言書の書き方

自筆証書遺言の書き方

法的に有効な自筆証書遺言を作るには下記のような要件(約束事)があり、それさえ守れば自由に作ることができます。
書き直しも自由ですし、費用も掛かりません。最新の日付がある遺言書が有効となります。
但し、内容が曖昧だと実際の相続手続きで使えないことも結構あるので注意が必要です。

自筆証書遺言の作成に必要な書類

・全文自書の場合は要件を満たした遺言書のみ。
・個別の遺産内容を別紙で指定した場合は、そのコピーや目録など(不動産の全部事項証明書や預貯金通帳のコピーなど)。

遺言書を作ろうと思い立った場合、真っ先に思いつくのはこの自筆証書遺言でしょう。
約束事さえきちんと守れば、誰でもすぐに作ることが出きます。
但し、遺言の内容によっては簡単ではありませんし、良かれと思って作成した遺言書がもとで家族に争いが起きてしまうこともあります。
できれば、お金は多少かかりますが、相続のことが良く分かっている、専門家のサポートを受けて作成した方が安心です。

デメリットとしては、
・自分で保管する必要があるため、紛失や死後見つけてもらえない事がある。
・悪意の相続人による、破棄、改ざん、作り直しなどの危険がある。
・裁判所による遺言書の「検認」という、少し面倒な手続きを経ないと利用できないなどの煩わしさがあります。詳しくは(遺言書の作成)をご参照ください。

自筆証書遺言を作成する場合の要件

法的に有効な自筆証書遺言を作るには以下のような要件(約束事)があります。

1.遺言時に15歳以上であること
2.遺言時に意思能力があること
3.作成した日付があること
4.署名があること
5.日付と氏名は自書であること
6.押印があること
7.所定の方式で変更されていること
8.遺言の趣旨が解釈可能であること
9.(要件ではありませんが「付言事項」もあると説得力が増します)

これだけです。言葉だけ見れば簡単そうです。でも遺言書は「法的に有効な遺言書」でなければいけません。
ではそれぞれの内容を見て行きましょう。(完成イメージはこちら)。

1.遺言時に15歳以上であること、は問題ないですね。

2.遺言時に意思能力があること

 ここは少し複雑です。でもあなたの現状に何も問題がないのであれば大丈夫です。
 具体的には認知症のように、精神的、行動観察的に障害があるかどうかで判断されます。
 また、遺言の内容が単純なのか、複雑なのかでも判断は分かれます。
 認知症と診断されているから一様に無効という訳ではありません。医師二人の証明がもらえれば有効にできることもあります。

3.~6.氏名と作成した年月日を正しく自書し印鑑を押す。問題ありませんね。
 但し、夫婦連名はダメです。必ず一人づつ作成します。

7.所定の方式で変更されていること

 変更(修正)方法のイメージは契約書の訂正方法と同じです。お仕事や不動産の購入契約などで目にする機会があったかもしれません。
 間違えた個所を二重線で消した上に印を押し、横(上)に正しい文言を書きます。欄外に何行目何文字削除何文字追加と書きます。

 但し、大事なところや複雑な内容の場合は、新しく書き換えた方が無難です。
 以前は全文自書の必要がありましたが、現在は民法の改正で、内容についてはワープロやコピーの添付が可能になりました。
 それでも全文手書きしたいという場合は大変になりますが、後々問題にならないように書き直した方が良いかと思います。

8.遺言の趣旨が解釈可能であること

あいまいな表現ではなく、内容が明確なことが必要です。文末も「相続させる」、「遺贈する」などの断定であれば問題ありません。
裁判例では、「遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが,可能な限りこれを有効となるように解釈する」と判断されています。

しかし、実務ではあいまいと判断され、利用できないことも結構あります。
銀行口座の解約や、不動産の移転登記など、個別の銀行、法務局などに手続きを拒否されてしまうのです。
この場合は裁判で争う事になります。
そんなことにならないように、慎重に、確実に作成する必要があります。

9.付言事項

付言事項は、法定遺言事項以外の内容であり、具体的には「感謝の気持ち」や「遺言を書いた経緯」などを付言事項として記します。
付言事項は法的効力を伴いませんが、遺言に関する被相続人の想いを伝えることで、被相続人の意思が尊重されやすくなります。
その結果、相続トラブルを回避できたり、円満な相続ができたりするケースも多くなります。

いかがでしょうか?(完成イメージはこちら)で自筆証書遺言の作成例を載せていますので、ご参照下さい。

公正証書遺言書の作り方

公正証書遺言の作り方

公正証書遺言は証人二人が立会い、法律のプロである公証役場の公証人に作成してもらう方法です。
公証人ってどんな人?と疑問を持たれたでしょうか。
簡単に言いますと、裁判官、検察官、弁護士などの法務実務に30年以上かかわってきた人のなかから選ばれる公務員です。

このような専門家に作ってもらうために、遺言書が無効になることはほぼありません。あなたの想いがそもまま有効な遺言書として利用されることになります。
自筆証書遺言の作成と違い、あなたが入院中など、外出できなくても出張サポートもあるので利用が可能です。

公正証書遺言の作成に必要な書類

 ・遺言者の印鑑証明と実印
 ・戸籍謄本(遺言者と相続人の続柄がわかるもの)
 ・相続人以外の第三者に遺贈する場合はその人の住民票等
 ・固定資産評価証明書、あるいは固定資産納付書の写し
 ・不動産の登記事項証明書
 ・預金、株式、有価証券等の明細がわかるもの
 ・証人予定者(2人)の職業と住民票等身分がわかるもの
 ・証人予定者は認印と身分証明書

自筆証書遺言書保管制度と同じく破棄や改ざんの恐れもなく、万が一作ってもらった遺言書を紛失しても、公証役場に保管されている原本の写しを発行してくれるので、安心です。
また、この制度も裁判所による「検認」の工程を踏む必要がないので、余計な負担がありません。

公正証書遺言のデメリットは、自筆証書遺言書保管制度と比べると割高になるということです。しかし安心感は一番ですのでお勧めです。
費用は司法書士などの専門家のサポート費用も含めて10万円~30万円程度です。弁護士さんはもう少し高くなる場合もあります。

公正証書遺言の作成手順

公証人が作成してくれるといっても、全てお任せでやってくれるというわけではありません。公証人はあなたの考えを確認して、その内容に従って有効な遺言書を作ってくれるだけです。
つまり、遺言書に記載する内容はあなたが草案としてきちんとまとめておく必要があるということです。

完成までの期間としては1~2か月です。専門家に依頼すれば2~4週間程度でしょう。
但し、草案の内容がまとまっていなかったり、戸籍謄本の入手などに時間がかかる場合がありますので、余裕を持った日程で取り組むことが大切です。
一般的には以下のような手順で進められます。

①事前に公証人との打合せ

実際公証人に書いてもらう前に事前の打ち合わせが必要です。司法書士などの専門家にサポートを依頼する場合は、草案を基にその専門家が対応してくれます。

②証人二人と共に公証役場へ出向いて遺言の内容を公証人に伝える

未成年や相続人となる人、及びその配偶者、直系血族など、関係性が近い人は証人になれません。
証人の当てがないときは、費用はかかりますが公証役場で証人を準備してくれます。
なお、病気や入院中など、外出できない場合は公証人が出張してくれるサービスもあります。

③公証人が遺言者の意思確認を行う

作成された遺言書通りの意思があるかを遺言者に確認します。

④遺言者と証人二人の署名捺印

公正証書遺言では遺言者が自書するのは、原則、公証人の筆記内容が自分の口述した内容と比べて、間違っていないことを承認する署名のみです。
遺言者本人が自書できない場合は公証人に代筆してもらうことができます。この場合は必ず①の最初の打ち合わせの時に伝えておく必要があります。

⑤公証人の署名捺印をもらって完成です

公正証書遺言を3通作成します。1通は原本として公証役場に保管。残り2通は正本と写しで遺言者が保管します。

以上で公正証書遺言が完成です。