公正証書遺言書の作り方

公正証書遺言の作り方

公正証書遺言は証人二人が立会い、法律のプロである公証役場の公証人に作成してもらう方法です。
公証人ってどんな人?と疑問を持たれたでしょうか。
簡単に言いますと、裁判官、検察官、弁護士などの法務実務に30年以上かかわってきた人のなかから選ばれる公務員です。

このような専門家に作ってもらうために、遺言書が無効になることはほぼありません。あなたの想いがそもまま有効な遺言書として利用されることになります。
自筆証書遺言の作成と違い、あなたが入院中など、外出できなくても出張サポートもあるので利用が可能です。

公正証書遺言の作成に必要な書類

 ・遺言者の印鑑証明と実印
 ・戸籍謄本(遺言者と相続人の続柄がわかるもの)
 ・相続人以外の第三者に遺贈する場合はその人の住民票等
 ・固定資産評価証明書、あるいは固定資産納付書の写し
 ・不動産の登記事項証明書
 ・預金、株式、有価証券等の明細がわかるもの
 ・証人予定者(2人)の職業と住民票等身分がわかるもの
 ・証人予定者は認印と身分証明書

自筆証書遺言書保管制度と同じく破棄や改ざんの恐れもなく、万が一作ってもらった遺言書を紛失しても、公証役場に保管されている原本の写しを発行してくれるので、安心です。
また、この制度も裁判所による「検認」の工程を踏む必要がないので、余計な負担がありません。

公正証書遺言のデメリットは、自筆証書遺言書保管制度と比べると割高になるということです。しかし安心感は一番ですのでお勧めです。
費用は司法書士などの専門家のサポート費用も含めて10万円~30万円程度です。弁護士さんはもう少し高くなる場合もあります。

公正証書遺言の作成手順

公証人が作成してくれるといっても、全てお任せでやってくれるというわけではありません。公証人はあなたの考えを確認して、その内容に従って有効な遺言書を作ってくれるだけです。
つまり、遺言書に記載する内容はあなたが草案としてきちんとまとめておく必要があるということです。

完成までの期間としては1~2か月です。専門家に依頼すれば2~4週間程度でしょう。
但し、草案の内容がまとまっていなかったり、戸籍謄本の入手などに時間がかかる場合がありますので、余裕を持った日程で取り組むことが大切です。
一般的には以下のような手順で進められます。

①事前に公証人との打合せ

実際公証人に書いてもらう前に事前の打ち合わせが必要です。司法書士などの専門家にサポートを依頼する場合は、草案を基にその専門家が対応してくれます。

②証人二人と共に公証役場へ出向いて遺言の内容を公証人に伝える

未成年や相続人となる人、及びその配偶者、直系血族など、関係性が近い人は証人になれません。
証人の当てがないときは、費用はかかりますが公証役場で証人を準備してくれます。
なお、病気や入院中など、外出できない場合は公証人が出張してくれるサービスもあります。

③公証人が遺言者の意思確認を行う

作成された遺言書通りの意思があるかを遺言者に確認します。

④遺言者と証人二人の署名捺印

公正証書遺言では遺言者が自書するのは、原則、公証人の筆記内容が自分の口述した内容と比べて、間違っていないことを承認する署名のみです。
遺言者本人が自書できない場合は公証人に代筆してもらうことができます。この場合は必ず①の最初の打ち合わせの時に伝えておく必要があります。

⑤公証人の署名捺印をもらって完成です

公正証書遺言を3通作成します。1通は原本として公証役場に保管。残り2通は正本と写しで遺言者が保管します。

以上で公正証書遺言が完成です。